好きや、むっちゃ好き。どうすれば伝わる??いくら言っても伝わらんくて、行動で示そうにもどう行動すればええのか判らんくて。我慢の限界で遂には強行手段に出た。そしたら当たり前かもしれんケド、大きな瞳に涙一杯溜めて抵抗されて。想定内やったケド拒絶されたことが存外に悲しくて。掴んだ手の力を緩めてしまったのが間違いなく運のツキ、俺の手を振りほどいて大きく振りかぶって平手打ち。プラスαに最低、と有りがちな捨て台詞も添えて。走り去る後ろ姿が辛くて、でもどうすればええんか判らなくてもうただ呆然。


『自分阿呆??』
「…うっさいわ、ボケ」
『うーわー…本真ないわぁ』


阿呆やボケだの有り得ない暴言を平然と言ってのけるコイツは間違いなく俺の十数年来の幼なじみで。はなこはこの部屋の主である俺を押し退けて、ベッドの上に寝転がり雑誌に視線を落としていた。先程起きた一部始終を説明すれば、相槌を打つ訳でもなく面白可笑しげに阿呆と一蹴したコイツ本気どないなっとるんか知りたい。…いや、阿呆な行動やったとは、冷静になった今確かに思う。アレは間違いなく最低やった。彼女の捨て台詞も当たっている。そして、はなこの言う阿呆も的を射てる言葉や。ケド、少し位慰めや労りの言葉が出ることを期待した俺、本気有り得へん。でも俺、アイツに振られたんやで??事実上の失恋、傷心中の人間に阿呆とか、どんだけ冷徹なんコイツ。


『なん、慰めて欲しいん??』
「別に期待してんし、」
『ふーん、…あ、頬が赤い』


触れられた場所は先程平手打ちをくらった所で、アイッシングをしていなかったからか痛みを帯びていて思わず眉間に皴が寄ったのが判る。痛い??と心配そうな顔を見せるはなこに、不覚にも申し訳ない気持ちになった、のはほんの一瞬のことで、直ぐさま腹立たしさを覚えた。


「っ…ぃ!!」
『あ、やっぱ痛い??』


予想だにもしなかった出来事。なんとコイツはあろうことか、熱を帯びている頬に思いっきり人差し指で圧を掛けてきやがった。しかも痛みの核であろう部位にピンポイントプッシュ。先程の比ではない痛みが俺を襲う。あんなに可愛いのに意外と力が強かったのだと今更になって思いつつも、沸き上がるのは目の前のコイツに対する苛立ち。


「何すんねん!!」
『何って、…気分??』
「痛いって言うたにも関わらずピンポイントプッシュとか本真お前何なん!?マジ有りん!!」


頭可笑しいんやないか!!と投げかければ、至言やなといとも簡単に頷きやがったコイツに青筋が立つ。うわ、本気腹立つーコイツ本気なんなん。沸々と怒りを溜め込んでいたら、にっこりはなこが笑った。


『謙也が怒りよる』
「そら怒るやろ!!」
『ほな少し楽なった??』
「は…??」
『気ぃ付かず??謙也むちゃ辛そうやったん』


ずっと下がりっぱなしやってんで、此処。そない言うて自分の眉尻を思いっきり下げるはなこ。まさか俺そんな顔してたん??ずっとって…ずっと??


『一杯吐き出してええよ。謙也すっきりするまで全部はなこさんが聞いたる』


まぁヘタレなんに付き合う前に手ぇ出したんはどないか思うケド、そう言いながらカラカラ笑うコイツ。分かりづらいケド、本真は心配してくれとったみたいではなこはさっきと違う笑みを浮かべた。


「敵わんなぁ…」
『当然やん!』


やっぱりなんだかんだで幼なじみってええと思う。さっきまで抱えてた胸のつっかえがなんや軽なった気がした。






なんやかんやで一番近い
(きっとお前になんかあっても、一番に気付くんは間違いなく俺やって言い切れる)


20100725

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