『…っは、ぁ』


やっとありつけた酸素。存分に堪能すべく大きく息を吸おうと思い開口した所、また深く深くに口づけられた。


『…ん、』


頭がくらくらする。キスに酔っているのか、はたまた酸素が行き届いていないのかは定かではないが。


いくら経ったのだろうか。時間の感覚さえ掴めず、濡れた熱が私を追い詰める。逃げては捕まり、捕まりは逃げて…だが、咥内で這う舌は私を絡めて離さない。


『…っはぁはぁはぁ!』


解放されたにも関わらず私と彼の間には、名残惜しげに繋がれた一筋の銀糸。濡れそぼった白石くんの唇。窓から注ぐ緋色でより官能的に妖艶さを演出していた。


「…なぁ、」


まだイケるやろ??そう言って微笑む彼は寒気がする位に綺麗だった。なんて綺麗なんだろう。綺麗過ぎて怖い。そんな私の想いを知ってか知らずか、彼は徐に私の唇を奪って犯した。






濡れた吐息
(響く水音が鼓膜を侵して私の想いまでも奪い去った)


20100724

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