優しく笑みを浮かべた。
いつもと変わらない彼女の笑顔。


本当に哀しい時、人は涙すら出ないのだと
どこか客観的に見ている自分がいた。


必死に繕う笑顔は痛々しくて切なくて
…それなのに儚くて綺麗だと感じた。


何処までも綺麗なその想いは
得たことも感じたこともない想いで、
自身の感情を抑えてまで零れるほどの
その感情を正直羨ましいとさえ思った。


あの頃知り得なかった想い。
今なら切に分かる。


これが人を愛おしいと感じる気持ち。
これが辛くて哀しい痛み。


きっと彼女の得たものに比べると
まだまだ到底適わない。


それでも……


(愛おしい想い、親愛なるキミに)


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