懐かしの

不可抗力で赤くなってしまった顔の私から視線をさっきの女の子の方へ戻す。

女の子も先ほどのショックを受けていた顔とは反対に。

彼の言葉を待っている。



『俺を名前呼び出来るのは未来のお姫様だけなんだよね』

なんてキザなこと言って
べっと舌を出せば、あぁ黄色い歓声。


『うわ、うるさ』

当の本人は怪訝そうな顔をしているけれど。

…大丈夫だよね?
もう赤くないよね私?


するとその時。

「何やってんだよ」

『あれ仁』

え、仁知り合いなの?


「…ここじゃうるさそうだな。場所変えんぞ」

『はいはい』

素直に仁のあとについていく央志くん。

え?え?
なんか私だけ置いてかれてる?


そんな困惑していた私に気がついたように。



『行くよ、昴ちゃん?』

どうして、こんなに懐かしいんだろう。

この光景、どこかで。


差し出された手をとることも、初めてじゃない気がする。


『ほら、早く早く』

手を引かれるままに、
私は2人の後を追った。








. 00 end

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