天然タラシは手ごわい

『っていうかさ、』

俺が声をかけると、「ん?」と顔だけこちらを向けるふたり。
未だ微妙に落ち込んでいる、眠り先輩は無視しよっと。

『なんで、ふたりして俺の隣りに寝てたわけ?』

さっき思い出したけど。どうしてか川の字だったんだよね?なんで?


「可愛かったから」
「そこにいたから」

こら。二人とも意味分かんない。
いつの間にか眠り先輩も復活してるし

『つまり二人とも変態なのは分かったよ』

「えぇ!?俺変態なの!?」
「あぁ、変態だな」
「いや二人って言われてんだから、お前もだろ!」

またなんだか漫才を初めてしまったところで

「変態と言えば、双見もだな」
『・・はぁ?』

なんで、俺が変態呼ばわりされなきゃいけないの?

「俺たちの寝込みを襲っていただろう?」
『え?違うよ!』

何を勘違いしてるの?この人は

「えぇ!?そ、そうだったの?央志くん!」
『だから、違うって・・』

面倒なことになってきたなぁ、もう

俺の弁解を全然聞いてない眠り姫はどんどん自分の妄想を展開させていく。
もう、非常に見てられない


『どうしてくれるの、先輩』
「何がだ?」
『何がだ、じゃないでしょ!』

本当に分からない、といった風に首をかしげる先輩に思わずため息を漏らす。

『あれ』

言って、未だに妄想劇を繰り広げているもう一方の先輩を指さす。

「いつものことだろう?」

まあ、それはそうなんだけど。

「気にするな」

なんて、頭をぽんぽん、って撫でてくる。
なんで頭撫でるの?

『なに?』

「いや、撫でたくなった」

ダメか?、とかニッコリ微笑んでくるこの人は、やっぱり天然タラシだ。

『・・・別に、ダメじゃない、けど』

小さく、本当に小さくつぶやくと、その人は嬉しそうにもう一度微笑んだ。





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