眠り姫のお目覚め


「隼人!!!」

俺達の隣りで寝ていたはずの眠り先輩が、いつの間にか起きていて、こっちに向かって大きな声を上げてきた。

「起きたのか夢路」

『あ、おはよ』

「おはよー、って!それどころじゃないでしょ!!」

ノリツッコミをかまして、俺達の方に寄ってくる。

「何やってんの、隼人!」

「双見がどうやら熱があるようなのでな」

「えぇ!?そうなの!?」

いやないし、とか反論する前に「大丈夫!?」なんて寄ってくる眠り先輩。

いつもは鬱陶しい彼も、今は救世主にも見えなくない。
とりあえずこの状況をどうにかして欲しい。


『先輩、もう腕限界・・』

「だから俺に寄りかかって良いと言っているのだがな」

『人魚先輩は黙ってて。眠り先輩、手貸して?』

右手がしびれてきて、もうすぐこの体勢保ってられなくなりそうなんだよねー
そうなっちゃうと、非常にマズイ。人魚先輩の天然タラシの思うツボだ。

「ったくもー、隼人エロいー」

「エロくない」

そんなやり取りをしながら、眠り先輩に手を貸してもらって体を起こす。

あー、痛かった。もう


『ったくひどい目にあった、ほんと』

ため息を吐きながら言えば

「大変だったな」

いつものような目をした彼がなんか言ってるよ

「いやお前のせいだろ」

今日ばかりは、眠り先輩側につくしかないよね、これ。

「羨ましいぞ隼人!!」
『・・・はぁ』

やっぱり前言撤回。
眠り先輩は、いつでも眠り先輩だった。


ため息をひとつして

『人魚先輩ー、もうやめてよねああいうの』

「え?無視?そこ無視なの?ねぇ」

華麗にスルーしていくー

「嫌だったのか?」

『嫌だった、っていうか・・』

「なら、良いだろう?あれは、中々良いものだった」

『・・・っ』

先輩の爽やかな笑顔に、ちょっとだけ。ちょっとだけ、ね?ドキッてして。
やっぱり顔が熱い。頬が熱い。







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