仁くんは優男?

『ごめん、ホント。覗くつもりはなかったんだけど、』
「別にいい。わかってるから、気にすんな」

さすが、仁。優しいなー、もう。


『しかし、仁も女の子に告白されたりするんだねー』
「・・どういう意味だ」

もちろん、仁は格好良いから告白くらいされるだろうけど。
なんか、意外

イメージ的に、俺とか昴ちゃんとか。姫たちと一緒にいるって以外の姿が思い浮かべられない。
女の子と歩いてる、なんてもってのほか。


『せっかくの告白断っちゃって、勿体無いね』

冗談っぽく、笑って言うと

「(・・・お前らがいるからな)」
『え?』

聞こえないんだけど。
なんか、聞こえないって、勿体無い気がする!

「・・お前の子守が大変だからな」
『子守って何だよ!』

さりげなく言い直された言葉に、思わずツッコム。
なんだよもー、相変わらず子供扱いなんだからー

けど、なんだかんだそれが小さい頃からの俺達でいれる気がして、少し少しだけ満更でもない、なんて仁には絶対言ってやんないけどね。



――「あ、そうだ。お前さ」
『ん?』

優男な仁くんがプリントを半分持ってくれたことで、少し軽くなった手。
同じくらいのプリントの量を持ってくれながら、唐突に何かを思い出したように言った。

「何かあったのか?煤原と」
『・・・な、なにもないよ?』

鋭いんだけど、この人!
極力、なんでもなーいような笑顔でニッコリ微笑んでみると


「言えよ」

一言つぶやいて、立ち止まった。

『え、』

「央志」

名前を呼んで、こっちを見て

「言えよ」

『め、仁?』

思わず、後ずさる。
・・なんか怒ってる?

「・・・」

壁と仁の間に、簡単に追い詰められた。








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