メガネのおなり

「また遊びましょーねっ」
「ね」

『遊ぶか、ばーか』

言って、ウィンクをかましてくるふたりをべーっと舌を出して、一応救世主さんにお礼を言っておこう。

『ありがと、助かった』
「今日のキーワードが"誰かを助ける"だったから」
『占い?』
「おう」
『・・だからか』
「当たり前だろ」

なんでどや顔だよ。
なんだか、感謝して損した気分・・


複雑な気持ちになりながら、仁の背中から出て、自分の席へ戻ろうとした時――

「相変わらず朝から鬱陶しいな、貴様ら」

『・・げっ』

メガネ=シンデレラさんのご登場だ。
手には早速掃除をしてきたのか、小さいmyちりとりと箒を持って、メガネの縁をくいっと上げながらこっちに向かって来る。

無意識に嫌な顔をしていまったらしい。
だって、だって。あいつ変態なんだもん。


『・・・変態メガネ』

本当に、本当に無意識だった。
思わず本音を呟いてしまった

それを、まさかヤツが聞き漏らしてくれているわけもなく

「・・ほう?」

不敵な笑みを浮かべる。

最近わかったんだよね。こいつがこんな笑い方の時は大抵、俺にとって良くないことを考えている時だ。


「そうか、貴様・・」
『な、なに』

思わず、後ろにさがると

『わっ』

つまずいて、自分の席に座ってしまった。
あ、っぶなー、なんてドキドキする心臓。


「・・・双見」

つぶやきながら、俺の頭をがしっと鷲掴みにする。
な、なにこの状況。

『・・な、?』

聞き返そうとした言葉を遮るように、俺の耳元に顔を寄せた。

「また、舐められたいのか――?」
『っ!?』

顔が近いのとか、耳元で囁くのとか、その内容とか。
もう全部が全部、心臓に悪くて。不可抗力で顔が赤くなって。

『なわけ、ない!!!』

全力で叫ぶのが、精一杯の抵抗だった。






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