攻防戦勃発

「朝から暑苦しい」

『仁ー!』

朝からなんとまあ、気だるそうな顔と声で少し遅れてやってきた仁。
俺たちのやり取りを赤面しながら見ている昴ちゃんに「おす」なんて、なんだか格好良い雰囲気の挨拶をして。


「邪魔だ。お前ら」
『助けてよ』
「頑張れ」
『こら』

一言返して、俺たちを避けて自分の席に行こうとする仁を、空いている腕でがっちりと掴んだ。

・・・逃すかばか。


「離せよ」
『嫌だ』

またここでも攻防戦が始まる。
・・朝っぱらから何やってんの、俺たち


「あ、先輩!仁先輩に迷惑かけちゃだめですよー!」

仁の心配する前に、俺の腰に回しているその手をどけなさい。

「そうだよー」

言って、下から覗き込むように見上げる白雪。


「僕たちと"良いこと"しよ?」
『強調すん、っ!?』

あろうことかこんの野郎。
わき腹を撫でてきた。

危うく、変な声がでそうになったのをこらえて、声にならない声を上げた。
だって変な声だしたら、こいつらの思うツボでしょ?


『め、仁・・!』

もう、無理!こいつら止められるのは君しかいないんだって!
思わず悲願するように仁を見れば、ため息をひとつついて


「もういい加減にしとけ」

俺が席に行けないだろ、とか余計な一言もついたけれど

「しょうがないですねぇ」
「仁にそこまで言われちゃったらねー」

仁にはこいつらをどうにかできる力があるみたいだ。
・・君らも君らで、なんでそこまで言うこと聞くの?

まあ、何はともあれ助かった。

腰に回された手が解かれて、開放された瞬間に、もう仁の後ろに回り込んでいた。
情けないって?気のせいだよ





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