セクハラお断り

「その顔に免じて見逃してやろう」
『はぁ?』

全然意味が分からないけれど、どうやら諦めてくれたらしい。

その言葉通り、近かった顔も腕も離された。


「さっさと帰るがいい」

なにこいつ。
毎度のことながらすげー偉そうだよね、シンデレラって

『まだ帰んないよ』
「・・・ほう。もっと虐めて欲しいのか」

言って、口角を上げながら近づこうとするこいつに全力で首を振る。


『まだオムライス、食べ終わってないもん』
「別に残して構わん」
『嫌だよ。折角あんたが作ってくれたんだし』

このチャンス逃したら、今度はいつ作ってくれるか分かんないもんね?
結構なお手前なシンデレラさんは、さ

普段はめんどくさい食事もなんだかんだ、この人のは食べられる。
――理由は分からないけど


「・・好きにしろ」

また小さく鼻を鳴らす。
顔をこっちに向けないようにしてるのは実は顔が赤いのを隠すため――
とか、ね?なんちゃって。ないかー、さすがに。


元の定位置に戻って、再度食べ始める。

そして、なぜか隣に座るシンデレラ。

『なんで隣に座るの?』
「気にするな」

すっごく気になるんだけど。
なにせ、さっきあんなことされた後だし


「おい貴様」
『へ?』

聞き返した時には、真ん前にシンデレラの顔があって
思わず目をつぶった。

その後すぐにくる何かの感触――


『な、なに・・・!?』
「米粒だ。まったく餓鬼か貴様」
『え、ま、まさか――』
「なんだ?」

『食べたの?』
「食べたが?」
『・・・舌で、とったの?』
「わざわざ手を使うこともないだろう」

なんでそんな自信満々なのか、分からないけどさ


「俺が初めてだろう?」
『何が?』
「舌を使って米粒とられたことに決まっている」
『当たり前でしょ!』

そんな変態周りにいない
君ぐらいしか。

「そうか」

ふふん、と鼻を鳴らしてなぜか満足気な彼にどうも納得が行かないけれど

やめよう。こいつには勝てない
今日やっと分かった。あいつ、変態だ。

『もうやめてよそういうの』
「何がだ」
『・・・なんでもない』


自覚ない変態って一番質悪いよね?
あいつには、気を付けよう

そう心の中で強く決断したのでした。――




end

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