メガネのいたずら

一応言っておくが、食べるのをやめた訳じゃない。
ただ利き手が使えなくて食べにくいだけ。ただそれだけだ!


「さあ食え」

さあ、じゃない!
なんでお前にあーんってされなきゃいけないんだよ。
朝も言った気がするんだけど?俺にそんな趣味はないの

「左だと食いにくいだろう。俺がやってやる」
『結構です』

即効で返事。
だって嫌だもん

「食えと言っている」
『嫌だと言っている』

どやって言わんばかりの顔で返すと
あ、やっちまった感

「ほう…?」

メガネのS心に火つけたっぽい?
ちょ、まじかよ


『こっちくんな』

おいこらメガネ。聞け。そして寄るな

『聞いてんのかよ』

どんどん近づいてくるメガネと、それをかわそうと後ずさる俺
…これより後ろは壁になりまーす

『な、なんだよ!』

やばい。完璧に追い詰められた
後ろは壁、前にはメガネ。
絶対絶命な俺

「口を開けろ」

嫌だ。絶対に嫌だ。

何が悲しくて男相手にあーん、とかされなくちゃならん
是非昴ちゃんにお願いしたいっす。


「この俺に逆らって良いと思っているのか?」

何言ってんだこいつ。
思ってるに決まってるだろうが

「ほう・・?」

このドSメガネは小さく呟くと
どうしてか、スプーンを持ったままの左手を俺の口の前に準備して
右手を俺の頭の上に持っていく。

・・・なんだこの状況


「ほら、」

ほら、ってなんだよ。意味わかんないんだけど

「早く食べないと、辛くなるのは貴様だぞ?」

言ってこのドSは壁についていた手を、平じゃなくて肘を折るように変える。

・・・わかるかな?
簡単に言うと、距離が近くなった。それだけ


『おいっ、近い・・って』

肘を追ったことで、顔の目の前にあるメガネ。
それがいたたまれなくて、思わず顔を背ける


「食べるのか?食べないのか?」

なんで、耳元で言うんだよ。こいつ・・・!

『・・誰が、お前なんかに!』

負けてたまるか、こんなメガネに・・!
いつもその手にやられると思うなよ!!


「貴様の、その顔・・」

『顔?』

聞き返した俺に、鼻で笑って







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