みんなとばいばい

「『お邪魔しましたー』」

なんだかんだ喋ってたら遅くなっちゃったー。
昴ちゃんとふたりで外に出る。

あれから少し待ってみたけど、おばさんは帰って来なかった。

まったく、おばさん同士の立ち話はすーぐ長くなっちゃうんだから。


「じゃ」

ん?なんだい仁くん。
ずいぶんとそっけないねー

あ!分かった


『寂しいんでしょ?』

「アホか」

真顔で返すなよー。
はー、寂しい。


『じゃね』

「おう」

軽く手を振って、仁と別れる。


と、すぐに昴ちゃんとばいばい。

あーそっかー
仁と昴ちゃんって家隣なんだっけ。

いいなー
俺も引っ越してこよっかな、…なんてね。


『じゃあね、昴ちゃん』

手を振って別れる。

「あ、そういえば!」

お?なんだいなんだい。

「央ちゃんってどこに住んでるの?」

『…内緒』

人差し指を口元に置いて、お馴染みのポーズ。

――別に言えないわけじゃないけどね。
ただ、今は言いたくないだけなんだ。

なーんて、誰に言い訳してるんだろ。


俺の答えに面食らってる昴ちゃんにもう一度手を振って、無理やり別れた。



*


あーあ、寂しいな。
さっきが楽しかったから余計に。

家に帰っても、ひとり。
そこそこ高級なマンションの最上階。

あーあ、寂しい。
――なーんてね


03 end

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