花火ファイアー

「ファイアーッ!!」
「わははははは」

始まった花火大会。
まず始めに置き方のやつから火を着ける。
一気に上がる奴らのテンション。

そんな俺はというと。
これまた少し離れたとこでそれを傍観している。

疲れた。姉貴らのせいで。
精神的にやられた。

けど花火を見てっと和むから不思議だ。


『…誰だあれ』

花火を宅配した時から気になってたんだけど。
なんかちっこい女の人がいらっしゃる。

「神木!」

なんか牧が神木を呼んだ。
それにうっすら微笑んで。


「真奈!!」

すると神木は(たぶん)彼女の名前を呼んで抱き抱える。

あれま。なにあの展開。

牧になんとか言って、ふたりは走り去って行った。



「一瀬」

『牧』

神木を送り出したらしい牧がこっち来た。

『あの人誰?』

「神木のお姉さん」

『あーあの人が』


それから牧はあのふたりについて話してくれた。

ふたりは姉弟だが、血は繋がっていない。
牧曰く、ふたりはきっと互いが好きらしい。

だから――。


とりあえず一通り聞いた。
その上で一言。


『…お節介』

「…だよね。やっぱり」

『でも』

それに救われる人も。
それに感謝する人も。

ぜってーいるよ。
花井だって。神木だって。

やっぱいいやつだ、牧。


『そんな奴だから俺はお前のこと、好きなんだよな』


「えっ…え!?」

『本当いいやつ』

なんか知らんが困惑してる牧の頭を撫でてやった。

なんかこいつって犬みたいじゃね?


――この時。牧の顔が赤く染まっていたなんて。俺は知る由もない。





つづく

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