大量花火


姉貴たちを山田さん宅まで送り、山田さんに散々頭を下げて。

岸田商店まで帰ってきた。


「あ、颯天くーんっ」

『おー』

ブンブン手を振られ、俺も軽く振り返す。
その手には既に花火が握られていた。

『遅くなった。半分持つ』

「あらーっありがと」

『しっかし大量に買ったな』

「えぇ。五割引きだったのよ!奮発しちゃったわ」

『…よかったな』


そのまま並んで歩きだした。

「そう言えばどこ行ってたのよ?」

『んあー山田さん宅』

「山田さん…?」


すっかり目が点になる花井。
なんて言ったらいいかわかんねーや。

『姉貴が来てたからさ。この辺案内してやってた』

「えっ颯天くんのお姉様!?」


お姉様って柄じゃねーけど。
めちゃくちゃ凶暴だし。

「会いたい!」

『…会っても別におもしろくねーよ』

「もう帰られたの?」

『いや、明日帰るって。明日まではいるけど…』

「なら丁度いいじゃない!」

『…なにが?』

「私たちで案内してあげましょうよ!学校を」

『えー…』

…めんどくさいことこの上ないんだけど。


『…まぁ考えとく』

曖昧な返事をして俺たちは海岸沿いを歩き続けた。







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