花火のお誘い
その民家まで送ることになり、そこまでの道のりを歩っていると。
『あれ。牧だ』
電話が鳴った。
(姉貴たちの獲物を狙うような目線は無視しよう)
『なに?』
[なにじゃないよ!今どこにいんの?]
『あー』
…どこだここ。
『山田さん宅まであと100メーター』
[はぁ?よく分かんないけど今から花火やんない?]
『花火?』
牧によれば。
なんか急遽花火をやろうって企画が持ち上がったらしい。
花井が岸田商店に花火を買いに出たそうだ。
まぁそれはいいとして。
『なんで花火?』
[夏にできなかったことをやろう企画!]
『…ふーん』
やっぱりくだらね。
[こっち来る?]
『いや花井と合流する』
[オッケー。じゃ待ってるよ!]
『あいよ』
返事をして電話を切る。
「花火やるの?」
『らしい』
「私たちも…」
『来んな』
「えー」
『えー、じゃねえよ。男子校だぞ?危ねーだろうが』
…あいつらがな。
特に神木、牧、野上とかその辺はやばい。食われる。
「あらー。私たちのこと心配してくれてるのー?」
「優しい弟とを持つと幸せねーっ」
『ははは』
…とりあえず。
勘違いしてくれてる姉貴らに感謝。
→
[ 55/88 ]