勝利のジュース
『…すっげーな花井』
「…おし、続きやろうぜ」
『触れてやれよ…』
苦笑しながらも、試合は続行されたのだった。
*
『ジュースいぇーい』
「…くっそー」
更衣室でテンション高い俺と悔しそうに項垂れる神木。
お分かりだろうが。
さっきの勝負俺が勝ったんだよねー。
最近俺たちの間では色々と賭け事が流行ってて。
因みに今日は負けた方がジュース驕りだった。
「ちっさいからって油断してたー」
『あんだとコラ』
スポーツは身長じゃねーんだってことを示してやったぜ!
『じゃ、いつものよろしく』
「はいはい」
俺に負けたのが結構ショックだったようで、まだテンションが戻ってこない。
『んだよー。んな落ち込むなって。またいつでも勝負してやっからさ』
な?と笑ってみせると
「その上から目線が余計にうぜーんだよなー」
笑いながら俺の首に手をかけてくる。
「このやろ!」
『うわっ馬鹿痛ぇって』
「はははっ」
『笑ってんな!』
「いやしかし本当にちっさいな」
『うるせえ。お前がでけーんだって』
「…なぁ」
『あ?』
もう首に巻かれた手とかどーでも良くなってきた。
「これって遠くから見たら恋人に見えたりすんのかな」
『はぁ?しねーだろ』
「そうか。しねーか」
『当たり前だろ』
何考えてんだこいつ。
→
[ 49/88 ]