姉ちゃん仲間

牧は、どうやら木梨の気持ちを聞いたらしい。

散々言って色んなこと言って「お前に口出す権利はないぞ!!」とかなんとか叫んで出ていった。

花井も花井でかなり動揺していたらしい、直ぐ様追いかけていった。


『…めんどくせ』

ひとり取り残された俺は溜め息をついて、席に座り直した。

「お、一瀬」

『あれ神木。部活お疲れ』

「サンキュ」

神木は俺の前に座った。


「あれ。何があったんだ?」

『さあ。牧がなんかお節介焼きにいったんだろ』

「あいつも大変だな」

『な。…あ、これやるよ』

自分の分にと思って買ったプリンを神木に渡す。

「まじ。やった」

『嬉しいんだ』

「おー。ここには花井といたのか?」

『ん。恋愛相談してた』

「花井に?」

『…逆。されてたんだよ』

言えば、神木は大袈裟に驚いたふうにしてきて。

『うぜー』

「ははっ。それにしても一瀬恋愛相談なんてできんのか?」

『…お前失礼なやつだな。ま、今回の言ったのは姉貴の受け売り』

「へー。姉ちゃんいんのか」

『おー。3人もいらねーよ』

「確かに。俺も姉がひとりいるけど、もうそれだけで手に負えないくらい凶暴だからさ」

『ふーん。一緒だなウチと』

神木がお姉さんのことを話した時。少し、ほんの少し。表情が柔らかくなった気がするのは気のせいだろうか。


『…お前の姉ちゃん見てえ』

「ははっ。見ても楽しいもんじゃねーけどな」

『んなのわーってるよ。んじゃ今度紹介しろよ』

「はいはい。じゃ一瀬の姉ちゃんもな」

『お前があいつらと会ったら間違いなく食われんぞ』

「…は?」

『…いや。なんでもない』

俺の一言で見事に気まずくなった空気の中、俺たちはもくもくとプリンを食べていたのだった。







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