1つ屋根の下

『ここ』

「意外と広いんだね」

『ん。まぁね』

寮監に見つからないように注意しながら、木梨を部屋に入れる。

なんか女の子が部屋にいるって変な感じ。


『ベットは上ね』

「あ、うん」

『下がいいなら代わるけど?』

「う、ううん違うの!」

頭をぶんぶん振りながら否定する木梨を不思議に思いながら。


『そ?ならいいけど。んじゃ飯パクってくっから待ってて』

「う、うん。ありがとう!」

『ん』

(相手が女の子だから)やんわり微笑んで、出ていこうとしたけど。

…俺の部屋。女の子にはつまんないんじゃね?

けど、女の子が好きそうなモン持ってねーしな…。



あ。いや、まてよ。

ふと段ボールにあった変なモノの存在を思い出した。



『ちょい待ち』

部屋の隅に積まれている段ボールの中を荒らす。

っかしーな。確かこの辺に。


『あ、あった』

目当てのモノを見つけ、それを木梨に投げ。

「ぬい、ぐるみ?」

『ん。姉貴の趣味だからキモかったら放置でいいから』

「うん…」

『俺の部屋何もないからさ。それで気ぃまぎらわしといて』

クマだかタヌキだかよく分かんないそれを、引っ張ったり潰したりを繰り返す木梨。

その姿に、気に入ったんだと勝手に解釈をして。


『遊んでてな』

一言残して、俺は今度こそ食堂に向かった。







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