なんで俺?
「よかった!あたし家出してきたの。花井君のトコに泊めて」
なにその語尾にハートつく話し方。
つーか、どういう流れでそうなったんだよ…。
*
特に対策も考え付かないまま、寮まで着いちまった。
『どーすんだよ』
「どうするって…」
「一瀬のとこ泊めてあげるしかないっしょ」
『はぁ!?何で俺なんだよ!』
無理だって。まじで。
「いいわね!颯天くんのなら安心して任せられるわ!」
『安心して任せんなよ!牧だっていんだろ?今野上いねーんだから』
「…居ないとは言え野上だぞ?あの部屋のどこにエロ本が隠してあるか、同居人の俺すら把握してないんだ!」
…確かにエロ本見つかったら空気だけで死ねるな。
『はぁー。しゃーねーなぁ…』
「颯天くんほんっとにありがとう!大好きよ!」
『あーはいはい。後でジュース奢れよな』
「いくらでも奢っちゃうわ!」
抱きついてくる花井をかわしつつ、大きくため息をついた。
…なんやかんやで。
花井の彼女と一夜を共にすることになっちゃいましたー。
→
[ 34/88 ]