鬼ごっこ
「うわっ…!」
不良Bはすっかり腰抜けてる
…つまんなすぎ。
『退屈しのぎにもなんねー。もういいよ、そいつ連れてさっさと行け』
「す、すいませんしたー!」
Aを抱えて走り去っていくB。
『で、大丈夫なの?』
「う、うん!ありがとう!」
振り返りながら言えば、乙女系は何回も頭を縦に振って。
『あーそれから乙女系』
「え?」
『牧からどー聞いてっか知らねーけど、俺は女顔なだけでお前と同族なわけじゃねーから』
あ、待てこれ
偏見持ってるみたいに聞こえるか?
『それと勘違いすんなよ。お前に偏見があるとかじゃなくて、ただ俺が違うってだけの話だから』
「…う、うん!ありがとう!」
『礼言うとこか?…まぁいいけど』
うっすら笑みを浮かべて言えば、何となく顔が赤いような気がする乙女系。
「ねえ、颯天くん!」
「くぉらぁぁぁああ!!」
『あ?』
俺は乙女系に返事をしたつもりだったのに。
なんで上から川崎降ってきたんだ?
「おーまーえぇえ!」
あーやばい。これはやばい。
『じゃ、じゃーな乙女系!』
「待てこらぁぁあ!!」
『待てって言われて誰が待つかぁぁぁあ!!』
そこから俺と川崎の全力鬼ごっこが始まったことは言うまでもない。
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