牧side


「おーい。颯天くーん」

何となく名前を呼んでみても反応は無かった。

てゆーか、寝るの早すぎだから。


「…神木大丈夫?」

一瀬の寝付きの良さに感心しつつ神木に視線を移す。

「ん?なにが?」

「いや重くないかなーとかさ」

「いや全然」

起こさないようにさっきよりも小声で話す神木。
神木がこんなに気を使ってやるなんて、彼くらいなんじゃない?なんて思いつつ。


「ていうかさ」

「あ?」

「一瀬って黙ってたらまじ女の子だよね」

「あー確かに」

そう言って、視線を俺から一瀬に移す神木。


あーそれと。その角度。

「カップルにしか見えない」

「は?」

さっきから思ってた。
この絵は、どっからどー見ても美男美女カップルのいちゃつき現場にしか見えない!


「それ、一瀬が聞いたら怒るぞ」

「だから神木にだけ言ってるんじゃないか」

「まぁ、実際可愛いからな」

爽やかに笑う神木だったけどその笑顔の裏に何か、別な何かがあるように思えたのは俺の気のせいだろうか。

「ん、どした牧?」

「いんや…あ、野上だ」

それを見て、何となくモヤモヤしてる俺の心も気のせいだってことにしとく。


「一瀬ー野上だよー」

声をかけて、揺すってみるけど全く起きる気配はない。

俺と神木は顔を見合わせて少し笑って、同居人の勇姿を目に焼き付けたのだった。



(入学式のあと、野上にこっぴどく叱られていた一瀬がいたことは言うまでもない)



end

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