いちゃいちゃではない
『こういうののことを言うんだよ』
「は?何の話だ?」
ひとり話の分からない神木を放っておいて
神木の前に立ってみる。
『神木』
「ん?」
『頭よこせ』
「こうか?」
言って、頭を下げてくる
こうしてもらわなきゃヤツの頭に届かねー自分にイラつく。
『…このやろ!』
「うわっ何すんだ!」
イラついた腹いせに、頭をぐしゃぐしゃに掻き回す。
それを避けようとした神木の頭を腕で抱えて。
「ちょっ離せって!」
『だーれが離すか!』
ぐしゃぐしゃ
ぐしゃぐしゃ
「…あー」
「ん?」
『お?』
なんか声がしてそちらを見れば、牧がこっちを見てた。
あれ、なんか顔赤くね?
『どしたー牧?』
「いや、あの…」
俺も神木もアイツの意味がわかんなくて
とりあえず俺は神木の頭を離し、顔を見合わせる。
『はっきり言えって』
「…カレカノに見えなくもないなーとか考えちゃったり、ね?」
ね?って言われても
「ははっ、じゃあ俺が彼氏で一瀬が彼女か。可愛い彼女が出来ちまったな」
『…なに言ってんだよ』
アホかこいつら。
…つーか、可愛い彼女って全っ然嬉しくねーんだけど。
「あー俺も彼女欲しい!」
『もって何だよ』
「あー、んじゃ俺の彼女レンタルしてやるよ」
「どれ?」
「これ」
『指差すなボケ』
「サンキュー神木」
『彼女とかありえねー』
「ははっ自信もてよ」
…なんのだよ。
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