おやすみ前の

「よし、今日はこんなもんか」
「頑張ったねー、一瀬」

『あーしんど』

あれから何問か解き、やっと終わった。
くっそー、めちゃくちゃしんどいんだけど。

「よしよし」
『…あ?』

牧が頭を撫でる。

『なんだよ』
「頭撫でてる」
『んなのわかってる。なんで撫でてんだよ』

どっちかっつったら、撫でられんのはお前だろ。
犬っころぽいんだから。

「なんか撫でたくなった…から?」
『疑問形で返すなアホ』

もういい。疲れたんだ俺は。
どーにでもなれ。


『眠い』
「ははっ、久々に集中して勉強したからだろ」
『うっせ』

けど、まったくその通り。
こんな集中したの久々だし。

初日からこんな疲れてて、一週間やり遂げられんのかな。


「寝るなー、一瀬」
「もう飯だぞー」
『…いらん』

ふたりの声かけも虚しく、俺はどんどん眠りに落ちていく。

二段ベットまで頑張ろうか、とも思ったけど。無理っぽい。
隣にいた牧にもたれかかる。

「え、ちょっ、一瀬!?」
『…おやすみ』

どもる牧の声は聞こえたけれど。
関係ねー、おやすみー。

そうして俺の意識は飛んでった。




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テーマ「人外ファンタジー」
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