数学教室開始

「よし、やるか」
『神木センセーよろしくお願いしまーす』
「しまーす!」

その日の放課後。俺の部屋に集まった。
牧の部屋にあったテーブルを持ってきて、そこに3人で座る。

『なにやるんすか、先生』
「んー、何からやるか。何が分からないんだ?」
「何が分からないかが分からないっすー」
『っすー』

テストがあるのは、数学IA。
もう数字とか文字とか、無理。

「じゃー、まずここの基礎問題から解いてみるか」

教科書にある問題を出されて、俺と牧は解き始めた。

「お、牧、基礎はできるんだな」
「まあ、基礎はね」
「っと。一瀬は…」
『無理』

褒められている牧を横目に、俺は真っ白のノートを見せる。

数学っていう数字の勉強のなかに、aとかbとか入ってる意味がわからん。

『なんなんだよ、二次関数って』
「そんな根本的なとこから?」

俺がいじけたように言うと、牧が笑う。
うっせー、やる意味がわかんねぇ。

「そんなの考えてたってしょうがないだろ?
俺も二次関数をやる意味は、正直良くわかんないけどさ」

ははっと、神木センセーも笑う。


『だってよー』
「だってじゃない。ほら、教えるから解こうぜ」
『んー』

唸りながら手をすすめるけど。

「これは…」
「特訓だな」

苦笑して顔を見合わせるふたり。


そうして俺の、数学教室が幕を開けたのだった。






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テーマ「人外ファンタジー」
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