ナンパお断り
「どこから来たの?」
「栖鳳の中案内しようか?」
『うっせー。黙れ。死ね』
もう飽きた。
さっきからナンパされるされる。
その度にあしらうのめんどくさいんだよ。
なんか無駄に多い人ごみの中で、花井とも逸れるし。
最悪。
「その強気な態度もいいじゃん」
肩を抱くな、ボケ。
『触んな』
言って、また軽く落としとこうかと思った。その時
「先輩、その子俺のツレなんです」
『は?』
「っち。神木の女かよ」
「そうなんすよー。悪いっすね」
うわーい。神木くん登場。
神木が先輩と呼んだヤツは舌打ちをしながらどっか行った。
「で」
『で?』
「なんで一瀬は、んな格好してんだ?」
『あれ、バレた?』
「そりゃ分かるだろ」
可愛いけどさ、と笑いながら言う。
なーんだ、つまんねーの。
『もっと面白いリアクションが欲しい』
「んじゃ、野上とか言ってみる?」
お、良さそうじゃん。野上。
ちょっと遊んでみるか。
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