男の娘になってやる

『で?』
「え?」
『それを俺に見せてどうすんの』
「だから、こんな感じの格好してみない?」

『…はぁ?』

なに言ってんだ。まじで。

『俺に女装の趣味はねぇ』
「女装じゃないの!!」

あー。無限ループ。

『それは分かった。で、なんで俺がその格好すんの?』
「絶対似合うわよ!」
『…いやいや』

似合う似合わねーじゃねぇんだよ、花井。

「アタシからの一生のお願い!これ着て!!」

一生のお願いをこんなとこで使うなよ。
んな、土下座しそうな勢いで言われても。


「ジュースおごるから!」
『…何本』
「5!」
『…』
「8!」
『えー』
「じゃあ10!!」
『んー』
「じゃあじゃあ、10にプリン3こ!」
『のった』

「キャーッ本当!?」

すごい叫び声をあげた花井。
そんなん着たって笑いになるだけだろ。

ま、別にそんくらいで飲み物とプリンもらえるなら、安いもんだ。


…なんて、俺の考えが甘かったのかもしれない。




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テーマ「人外ファンタジー」
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