クマからの励まし
『…はぁー』
食堂の椅子に座り、深々とため息をつく。
あれから。
そりゃあもう引っ張り回されて。
疲れたー、とか。喉渇いたー、とか。
そんな姉貴たちのわがままを全部聞き入れながら(シカトすると後が怖い)大体の校舎内をまわることで、なんとか午前中終了。
お腹すいたー、とのわがままにこれまた付き合ってただいま食堂。
食堂メニューの券を買うとこから、やってみたいっていう姉貴たちに付き合ってヤツら3人も一緒に並んでる。
そして俺はひとり、席とりってわけだ。
「一瀬か?」
『あ?』
呼ばれてそちらを見ると。
『新くんじゃーん、やっほー』
「…だいぶ疲れてんな」
そう言って俺の横に座る。
新は今日は部活の練習があるって聞いてたけど。
一段落したってとこか。
『姉貴たちが来ててよー』
「へー」
俺の話を聞きつつ、黙々と飯を食べる新。
「まあしゃーねえな。たまに弟と会えたからお前の姉さんたちも嬉しいんだろうよ」
『あぁー。だと思うけど』
「今日だけだろ。ま、付き合ってやれよ」
言いながら、俺の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。
『ん、サンキュ』
「気楽にやれよ」
じゃ、と言って席を立った。
いつのまに飯食ってた、お前。
『お前も部活頑張って来いよー』
「おう」
『ようし』
今日だけだし。しゃーねえ。付きやってやっか。
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