みんな守るよ
私が、守ってみせる
オウディのために―――
[…見えるか]
耳に当てているインカムから声が聞こえて、それに小さく答えた。
『…五人、かな』
[いけるか?]
『…うん』
少々心配そうにする彼の声に『大丈夫だよ』と呟いてタイミングを見計らう。
一瞬だけ、空気が緩くなった時があって。
『今』自分だけに呟いて走り出して、同時に戦闘体制をとる。
まずは一番近くにいた人を蹴りとばす。
「お前っ…!」口々に声が漏れた、けどもう決まっていた。
ピストルを抜こうとした人を横蹴りで寝かせ、私を掴まえようとした人に後ろ蹴り。
ピストルの音がして反射的にかがみ、そのままの体制で近づき、下から上に蹴りあげた。
最後のひとりはガタガタと震えてしまっていて、一瞬戸惑ったけれど。
『ごめんなさい』と、呟いて回し蹴り。
これで、終わったかな?
「き、貴様っ…!」
奥にいた(このファミリーのリーダーらしい)人が出てきて、その格好からとても裕福な暮らしをしているのが分かった。
この下の町では飢えに困って嘆いていたっていうのに。
「俺をファルギーノファミリーのボス、クランツェと分かってやってきたのか!?」
目標だと言われた人の名前と一致したので頷いておいた。
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