垣間見えた晴

あぁ、どうしようか
この状況。

「ちょっと可愛いからって調子乗んなよ!」

「獄寺くんと山本くんが優しいからって勘違いしてんじゃねーよ!」

連れていかれたのはどこか日当たりの悪い場所。

この子があの手紙の主なんだ、なんて思っていたらあっという間に女の子がいっぱい出てきて。

囲まれたと思ったら、なんだかみんな怒っているらしい。

…よく分からないけど
猫がビックリしてるからやめて欲しい。


『…もういい?』

あらかたおさまったようなので、聞いてみるとそれが気に入らなかったらしく、また始まった。

…困ったなぁ。



「ちょっとあんた痛い目みないと分かんないみたいだね」

彼女たちを掻き分けてやって来たのは、背が高くやたらがっしりした(たぶん)女の子。

『…?』

「おら行くよ!」

わけが分からなくて首を傾げていると、その女の子(仮)は発した言葉と共に殴りかかられて。

反射的にしゃがみ、それを避ける。


別に今のままでもいいんだけど、両手塞がってると加減できない。

誰かに猫持ってて欲しいなぁ、なんて考えた時。



「貴様らぁ!何をやっとるかぁ!!」

現れたのは、たぶんここの上級生であろう人。

鼻の頭のところに絆創膏が貼ってあって、とりあえず声が大きい。

それが彼の第一印象だった。


――彼が晴の守護者、笹川了平だったなんてこの時の私は、当然知る由もない。





END


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