猫との再会

「本当に来たね」

『…猫』

手を差し出すと素直に猫を出した彼。

『ありがとう』

猫を撫でながら微笑めば

「今日この後また5時にここに来て」

『…ここ?』

「そう。並高」

なんで?

「来れば分かるよ」と、笑って言われたので、素直に従っておくことにした。


「沢田、と他二人はちょっと残りな」

私の後ろで待っていたみんなを呼ぶ雲雀。

みんな嫌そうな顔をしていたけれど、雲雀には逆らえない(主に沢田)ようで黙って部屋に入っていく。


「じゃあね」

『…うん、またね』

追い出されるように部屋を後にした私は、彼の態度に疑問を持ちながらも猫を抱えて昇降口へと急ぐ。

早く、この子にご飯をあげなくちゃ。



本日付けで自分の下駄箱になった所を開けて靴を出そうとした時、変な紙が入っていることに気づいた。

…何これ?
深く考えずそれを開くと

『…体育館裏に来い』

読んでみる。
体育館裏ってどこ?

…行けないや
場所知らないし。


特に気にもせず昇降口を出ていき、学校を後にしようとした時。

「日下リリィさん」

『…?』

知らない女の子に声をかけられた。

「ちょっとこっち来てくれるかな?」

ニッコリ顔の彼女だけど

…なんだか怒っているみたいで。

よく分からないまま、腕を引かれて私は彼女の後をついていった。







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