僕と彼の悪巧み
どうして彼女が浮かんだのか分からないけど
それが彼女なら
この時期に転入な理由も、あんなに強いわけも、すべて説明がつく。
「…どうやらいたようだな」
得意気に鼻を鳴らす彼に内心舌打ちをしながら
「…まあね。
で、なんだい。僕に彼女をどうしろって?
殺せ、なんて野暮なことはやめてよ。僕は彼女に興味があるんだ」
「早とちるなよ、雲雀。俺もやつを殺そうだなんて思ってない。ましてツナを殺させてやるつもりもない」
じゃあどうするの
と、聞けば彼はニィッと口角を吊り上げて
「それはな――」
「…へえ」
面白そうじゃない。
誰かの指図で動くなんて御免だけど、今回ばかりは彼に乗ってあげてもいいかもね。
「いいよ。協力してあげる」
「悪ィな」
「別に。実行は今夜でいいのかい」
「あぁ、俺は構わない。この後ヤツと一緒にツナたちも来るだろうからな。その時にでも説明してやるさ」
「彼らに拒否権はないんだろうね」
「当然だろ?」
厭らしく笑う彼に僕も笑ってみせて。
―――コンコン
来たね。
「…誰」
『…私』
「あぁ、君か」
…分かっていたけどね
入るように促して、僕は今夜起こるであろうそれに胸が高鳴るのを感じていた。
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