雲雀side
膝の上で眠る子猫を軽く撫でながら、視線だけを時計にやる。
ちょうど六限目だ、もうすぐ彼女がやって来る。
―早く終わらないかな
なんて思った時。
「ちゃおッス」
聞きなれたら独特の挨拶
気配を感じなかった…
内心ドキリとしながら平然を装う。
「なんだい。勝手に入って来ないでよ」
いつもなら手合わせ願うところだけれど、今は彼女を待つことで手一杯だ。
「ひとりのマフィアがこの並盛に派遣された」
「…は?」
「ボンゴレ、というよりはツナを殺すためだろう」
いきなり何を言うの?
「だから何。
僕に彼を守れって?」
そこまでヤツも貧弱なわけじゃないだろ…貧弱だけど。
「いやまさか。アイツには自分の身くらい自分で護らせるさ」
彼の鼻で笑った態度に、ますますわけがわからない。
ふと、真剣なそして何かを伺うような声色になって
「…お前そいつの正体を知ってるんじゃねーのか?」
…何を言うのかと思ったら。
「…おあいにくさま。僕は君たちみたいに友達ごっこなんてしていないからね。マフィアに知り合いなんていないよ」
思い当たる人もいないしね。……いや、リリィ?
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(目次)