獄寺side

俺のクラスに変なヤツが転入してきやがった。

初めは朝から十代目と仲良く登校しやがったから、敵対心もむき出しにしてやったが、どうやら猫が好きらしい。

俺の瓜にも会わせてやるって言ったら、すげー喜んでたしな。

女なのに話すのが苦にならねえし

それどころか、もっと話していたいと思う。

今までにない感覚だ。



そしてついさっきリリィについて新しい発見があった。

ヤツは天然タラシだ。

ムダに愛想を振り撒くからクラスの奴らがリリィを意識しいるて視線がうぜえ。

だが当の本人が気づいてないからたちが悪い。


あの細っこい身体で奴らから逃げられるわけがない

だから俺が守ってやるしかねえんだ!


『…獄寺?』

「あ、あぁ?」

ひとり決意する俺を怪訝そうに見るリリィ。

『…ご飯食べないの?』

「今から食う」

『そっか』と呟いてまたひとつのパンを食べ始めるこいつ。

…こんなパン一個で足りんのか?


「リリィ」

顔をこちらに向ける

「困ったことあったら何でも言えよ」

俺が守ってやるからな。

『…うん、ありがとう』

やんわり微笑んで返す

…好きだ、やっぱり
こいつの笑顔。

俺が、俺の手で
守ってやりてぇ。



それを心の中に誓った時
リリィが十代目を狙う俺たちの敵だなんて、考えてもいなかった―――





END


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