食糧調達


…まあ、いいか
焦ってもしょうがない。

「そろそろ食べよ?」

伺うように言う沢田に頷いて見せて

『…あ』

忘れてた

『お昼ご飯、ない』

買ってくるのも
作ってくるのも

どっちも忘れた。


「日下さん!」

そんなことを呟いた時
誰かに話しかけられた。

…だれ?
ここにいるんだから、クラスメイトなのかな


「これ!俺多めに買ったからあげるよ!」

そう言ってパンを差し出される

『…いいの?』

上目に聞けば、ぶんぶん頭を振りながら頷くから

『…ありがとう』

ニッコリ微笑んでそれを受けとると

「お、俺も!」
「これもやる!」

…どうしてか、私の腕の中はパンやおにぎりでいっぱいになっていた。


「…リリィ」

『どうしよう…こんなに食べれない』

苦笑いの山本に呟く

「俺が食べてやるよ」

『…いいの、かな?
私が貰ったのに…』

「いいだろ別に」

「リリィちゃんが食べれなくてダメにしちゃうのは勿体ないよ」

と、獄寺に沢田。

…そう言われると、そうなのかもしれない。


ふとクラス全体に目をやると、(たぶん)パンをくれた人たちがこっちを見ていた。

『…パンありがとう
ごめんね』

微笑んで頭を下げると、教室内が一層うるさくなった。

…並盛高校って変。






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