君がいるから

授業がもっと長引けば良いのに、と思ったのは初めてだった。

名前は日下リリィ(寝てて聞いてなかったからもう一度自己紹介してもらった)
帰国子女で英語以外の勉強は苦手。運動が好きで、今度一緒にキャッチボールする約束までした。

何を話しても話題が尽きることはなくて、午前中の授業はあっという間に過ぎていく。

毎時間その授業担当に
「山本が起きてるなんて明日は雨だな!」とか言われたけど、別に平気なのな。


授業が長引けば、なんて考えたのには理由があって。

転校生プラスその端整な容姿を持つリリィは毎時間の休み休憩に、クラスメイト(はたまた別のクラス)の奴らに囲まれる。

そうなれば、俺は彼女に近づけないから。


「なあ、リリィ」

ちょうど、四限目

名前を呼べばノートを取っていた漆黒の双眼顔がこちらに向けられて。

「昼飯いっしょに食わねーか?」

『…お昼?』

頷いてみせると

『…いいよ』

ニッコリ微笑んで、頷いてくれた彼女に

「へへっサンキュー」

俺までつられて笑顔になって

いつも楽しみな昼飯が今日は一段と待ち遠しく感じるのは、きっとお前がいるから。



(その後彼女を昼飯に誘う瞬間を狙ってたクラスメイト連中に妬まれたのは言うまでもない)







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