約束

口々に「あの雲雀さんに…」とか「何なんだあの子…」とか漏らしているけど

…そんな珍獣みたいに。


その時

――ガラッ

「リリィ」

『…雲雀』

音に反応して振り返るとその姿があって、部屋の空気が一層張り詰めたのが分かった。

「僕にこんな労力使わせるなんて生意気」

『…しょうがないでしょ
場所知らないんだから』

「覚えてよ」

『…頑張る』

曖昧な返事に変な顔をしたけど、私の腕の中を見ると本題に入った。


「で、その猫?」

『うん。今日学校終わるまで』

「ふーん。いいよ別に」

『ありがと…』

やんわり微笑むと

「じゃあ預かるよ」

『…うん。よろしく』

雲雀に猫を渡す。
最初は驚いていたみたいだけど、意外に雲雀の腕の中が気に入ったようで、すぐ大人しくなった。


「じゃあね」

『あ、雲雀』

振り返った

『約束、守れたよ』

微笑みながら言えば

「…当たり前でしょ」

彼も少し微笑んだ。


最後に「取りに来るの忘れないでよ」と残して、雲雀は出ていった。



それに手を振って答えると今度は先生たちに囲まれる。

「日下さん!」

「雲雀さんとどういう関係なの!?」

『…どういう関係?』

意味が分からない。
昨日初めて会った人と関係を作れっていう方が難しいと思うんだけど。









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