説得
『失礼します』
「待っていたよ!日下リリィさんだね?」
あれから学校に着いた私たちは沢田に案内して貰い、職員室にやって来ていた。
サワダも心配だから着いてくると言っていたけど、大丈夫と言って断って今は私ひとり、と子猫。
沢田曰く、この学校を牛耳っているのは雲雀だから、その雲雀を納得させられればオッケーらしい。
扉を開ける時はにこやかだった先生の視線が、私の腕の中にやって来て。
「どうしたの、それ」
『…捨て猫です
雲雀恭弥に連絡を取りたいんですが』
雲雀の名前を出した瞬間に一室の空気が変わった。
…雲雀って何者?
「そ、そうか。
が、頑張れよ!」
『…はい?』
よく分からない声援を受けて、職員室から回線で繋いでくれるらしいのでそちらに回る。
――RRR…
[…はい]
『…雲雀?』
[君…リリィかい?]
驚いたように言う雲雀
『そう。あのね…』
どうしてか私の一字一句に怯える先生たちを背に、私は子猫のことを説明した。
*
『うん。分かった』
待ってる、と最後に付け加えて受話器を置けば。
「「どうだった!?」」
職員室全員の先生から追い詰められて、少しビックリしてしまったけれど。
『…大丈夫でしたけど』
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