主人公side
頬に当てられた銀色の冷たいそれ。
そしてヒバリの顔に当てられているのは私の足。
…これはつまり、相討ちってこと?
「…やるじゃない」
ムッとしたように言われて、どうしていいのか分からない。
頬からトンファーが外されたから、私も足をおろした。
正直、びっくりした
自惚れてるわけじゃないけど、実際こんなに体術が当たらないのは始めてで。
しかもお互い本気でやりあっているのに、楽しい、なんて感じてしまって。
…どうしたの、私?
「君、名前は?」
『…日下リリィ』
「…リリィ?」
訝しげに呼んだ後、何かを思い出したように声をあげた。
「転校生だね?」
こくり、と頷くと、ヒバリは楽しそうに笑って。
「僕は雲雀恭弥。
いいね、リリィ。僕は君が気に入った」
よく分からないけど、これはお礼を言った方がいいんだろうか。
『…ありがとう』
お礼を返した私を今度はビックリしたように見据える雲雀。
…なにか、間違った?
「本当、面白いよ君」
くすっと微笑む彼に、私は首を傾げる。
お礼を言って笑われるなんて思わなかった。
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