住まい到着

『…まさかね』

日本でまた出会えるかななんて思ったけど
そんな上手い話あるわけない。
そこまで世界は甘くない


自分の浅はかな考えに少し笑って、また資料をめくり始めた。




そのあと少しして「着きました」の声。

おろされたのは、私が見ても分かるような高級マンションで。


『こんなところにお金使わなくていいのに』

「ここはセキュリティがバッチリなんです」

ふと漏れた本音に部下の人は苦笑いを浮かべて。


「ボスがリリィさんのために必死に探したんですよ」

そんなこと言われて恥ずかしくなった反面、やっぱり嬉しくて。


『…リリィでいい』

「え?あ、あの」

『名前、さん付け嫌い…』

「あ、ありがとうございます!」

何をそんなに喜んでいるのか分からない
自分よりも年上であろう人にさん付けされるのは何だか気が引けたから、たったそれだけの理由なんだけど。



そのあとローク(彼の名前も教えてもらった)と別れて、管理人さんに名前を言えば、部屋番号を告げられる。

聞いたところによると、荷物のほとんどが既に部屋に送られているそうで。

なんか、至れり尽くせりで変な気分…








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