カズキとヒビキ

『平気?痛くない?』

カズキを気遣いながらベットに横たえる。

「あぁ、平気だ
すまない」

『…安静にしててね』

いつものおかえし、とばかりに優しく頭をポンポンと撫でてやれば
「年上にそういうことをするもんじゃない!」と真っ赤な顔をして怒られた。


その姿にクスリと笑って、『じゃあ』と告げて部屋を出ていこうとした時

「リリィーー!」

『?』

扉を開けた瞬間に、自分よりも大きい人に抱きつかれて思わず尻餅をついた。

…痛い。
お尻を擦りながら、抱きついてきたその人に声をかける。

『どうしたのヒビキ』

「どうして俺の所に一番にこないんだ!」

『…そんなこと言われても困る』


ヒビキはカズキの弟で、私のふたりめの兄のような存在だったりするのだけど。

カズキがしっかりした性格なのとは正反対に、少し我が儘な所があって私よりも年が上なのにその姿はまるで幼子で。


「今度は絶対兄貴なんかの方じゃなく、俺の方に来いよ!」

『うん、分かった』なんて、何度目か分からないやり取りをして。

「おい、ヒビキ
なんか、とはどういう意味だ」

「そのままの意味だよ、馬鹿兄貴!」

そのまま始まってしまう兄弟喧嘩にまた微笑ましくなって、ふとエトーに呼ばれたことを思い出した。

行かなくちゃ









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