さようなら


インカムに繋げばすぐにカズキが応答する。

[どうした?]

『目標、見つけた』

[そうか、よくやった]

褒められて、少しだけ嬉しくなった。カズキに褒められるのは、心の中が温かくなるから好き。

「死ねぇぇえ!」

あ、忘れてた。

つい拘束もしないで置いてしまった目標(名前忘れた)が、ナイフ片手に迫ってきた。

けどそれをかわし、ナイフを持った方の腕と胸ぐらを同時に持ち、そのまま背負い投げた(日本では一本背負い、とも言うらしい)。


[どうした!?]

『…なんでもない。ちょっとヘマしただけ』

[怪我は!?]とか[大丈夫なんだな!?]とか。
カズキの過保護さに少し笑ってしまったのは内緒だけど、やっぱり好き。カズキは温かい。



「たの、頼む!い、命だけは!!」

[…聞くなよ。そいつは咲かせてやれ]

カズキに小さく答えて腿に隠しておいた銃を構える。

銃は嫌い
血が出るから。

だから体術は好き
血が出ないし、ただ気絶させるだけもできる。


だから普段は体術だけなんだけど、しょうがない

エトーから目標だけは染めてこいって言われたから



『すぐ、だから』

目標の上に馬なりになり腕を拘束しながら、こめかみにそれをつけた。

[…やれ]

叫んで暴れて、どうにか逃れようとする男に諭すように囁いて。

カズキの声と同時に引き金を、ひいた―――









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