「なァ、運命ってほんとにあんのか?」

「は?」



今日、とうとう高杉の頭がイカれた。何を言い出すかと思ったら、「運命はあるのか」とのことだ。まさか高杉の口から「運命」なんて言葉が出てくるとは思わなかった。きっとそう思ったのはわたしだけじゃないはずだ。全世界の人間がそう思ったに違いない。はっきり言って高杉が運命とか



「キモいよ」

「は?」



見るからにイライラし出す高杉。ちっせー男だな。アンタは運命どーのこーのの前にその態度を改めなさい!って言おうとしたけど、言う前に高杉が真面目な顔に戻ったから辞めた。高杉もやれば出来るのね。



「あるかどうかは知らないけど、わたしの運命の人は高杉だと思うよ」

「………」

「え?シカト?」

「お前恥ずかしくねーの?」

「なんなら白馬の王子様でもいいよ…………ブフッ」



白タイツにカボチャパンツ更にはでっかいマント、極めつけに王冠。それらを身につけた王子様姿の高杉を想像したら、かなりキモくて笑えた。わたしの脳内をプリントアウトして学校中の掲示板に貼ってやりたい。そんで土方とか沖田に弄られればいい。



「オイ、テメー今なに想像してやがった」



わたしを睨んで高杉は顔を真っ赤にして怒る。最早これも一種の照れ隠しにしか見えないけど。高杉は「うぜー」だの「ありえねー」だのぶつぶつ呟いてた。だけど気にしない。だって高杉、



「アンタの運命の人はあたしじゃないの?」

「…答えになってねーよ」



照れて照れて照れて。もっと顔を真っ赤にする高杉。運命があんのかないのかなんてわたしも知らないけど、それでもアンタとわたしが一緒にいるのが運命だったらいいのになんて考えるわたしは高杉以上にどうしようもないバカかしら?



「高杉、」

「んだよ」

「好きだよ高杉」

「…知ってる」



どーしようもないくらい好きで好きで好きで。大好きで仕方なくて。