01
「ゴホッ…」
桜の舞う季節……春。
少し肌寒く、やや風邪気味な
あたし、羽崎仁菜(ハサキ ニイナ)。
1ヶ月前、この桜凜学園に
入学したばっかりの高校1年生。
「仁菜!呼ばれてるよ〜」
「えっ?」
急に親友の小野有紀(オノ ユキ)にそう言われ、教室のドアに視線を向ける。
そこに居たのは、学園で1、2を争うほどモテて人気のある先輩が立っていた。
「あ、あの先輩に呼ばれてるの?」
「もう、当たり前じゃない!」
「う、嘘…」
先輩とは、初対面だし接点なんてこれっぽっちなかった。
あんなモテる先輩がこんなあたしに何のようだろうと不思議でたまらない。
「とにかく行ってきな」
「え?あ、うん」
有希にそう促され、思わず返事を返してしまった。
それに呼ばれてるのに無視できない。
「ほら早く」
「わ、わかった…っ!」
待たせるのも申し訳ないと思い急いで先輩のとこに向かった。
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