09
上を恐る恐る見上げると、知らない男の子がいた…というより、太陽の光が眩しくて、顔がはっきりと見えない。
「お前さ」
「は、はい?」
見下ろす彼に、耳を傾ける。
「…天鈍(テンドン)?」
訳のわからない日本語で質問された。
てんどん……テンドン……天丼!?
文字を変換して見たけど、
全然わからない。
「…それって日本語ですか?」
思わず聞いてしまった…。
だって、本当に意味が分かんないだもん。
「天然と鈍感を略して“天鈍”」
彼は、その意味をあたしに教える。
ていうか、略さなくても……ってはい!?
余計、意味が
分からなくなりましたけど…。
「あ、あの〜?」
「何」
「天鈍って…?」
「は?お前のことに決まってんじゃん」
「えっ!?決まってるの?」
あたしがそう聞いたら、
彼は、深〜くため息を吐いた。
「あーぁ、天然になにいっても無駄だ、無駄」
呆れた顔をしながら、そう言う。
その前に、
「あたし天然じゃないですよ?」
ていうか、
天然って…何?
「はぁ…もういいや。お前の名前は?」
「に、仁菜です…」
「それより、俺のいるとこまで来れば?」
眩しいだろ?
と、付け足して彼は、そう言った。
「で、でも」
「いいから、早く」
「は、はい…」
さすがに見上げるのも首が疲れると思い、隣にあった梯子(はしご)を使ってのぼった。
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