ここ、妖精の尻尾に新メンバーが加わったらしい。ミラジェーンを通してそれを聞いたわたしはすぐさま彼女にどんな子か問い詰めたのは、最早暇つぶしに近かった。案の定彼女は微笑み優しく教えてくれる、金髪のかわいらしい女の子よ、と。…女の子かあ。「その子、強いの?」、その質問にミラジェーンは困ったようにくすりと笑った。「わたしはこの目で見てないからなんとも」。わたしの興味が失せたのでジュースを飲み干し依頼書へ手を伸ばす。

「久々に“普通の”仕事してみよっかな」
「余裕ね?」
「別に、そんなんじゃないよ」

誤魔化すように笑って見せると聞いたことのない声がどこからか響いた。あああの子よ、ミラジェーンの言葉に従いその方向を見る。そこには金髪の美少女がこちらをきょとりとして見ていた。「ルーシィっていうの」。ミラジェーンから聞かずとも名前を教えられる。「ルーシィ?はじめまして、ナマエです」「は、はじめまして」。まだギルドに慣れていないのだろう、少し緊張していた。
よろしくね、とは言わない言えない。なんだか初対面の決まり文句が恥ずかしかった。そんなわたしの考えを余所にルーシィははにかんで手を差し出す。

「よろしくね」

わたしもこんな素直でかわいい女の子だったらなあ、差し出された手を握り返し頷いた。うまく笑えていたかは定かではない。





「ラクサス!!」
「そんな大声で呼ばなくても聞こえてる」

いつからかツンケンし始めた幼馴染に昔のかわいらしい面影はない。筋肉ムキムキのイカツイ顔になってわたしはとっても寂しいのだ。「今日、ルーシィと会った」「誰だそれ」「ラクサスが好きそうな巨乳のかわいい子」。何がおもしろいのか鼻で笑うラクサス。「興味ねえな」、だそうです。
そんなこと想定内のことであったので素直に引き下がりおやすみと言う。ラクサスはかっこつけておう、と一言。ツンケンがひどかった時期は無視だったのでまあまあよしとしよう。それでも少し寂しさを覚えた。もう昔のようには戻れないと思う。
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