ラクサスはフェアリー・ロウを使ったが、誰も傷付くことはなかった。もしわたしまで攻撃されたらどうしようかと内心ヒヤヒヤしていたが、予想外の結果に唖然とする。それと同時に、本当はみんなのことを仲間だと思っていたという彼の本心がかわいくて仕方がなかった。もう、本当、かわいい。

「世話が焼けるなあ」

ナツへのトドメの一撃をガジルに邪魔されて反撃を受けるラクサス。それを見兼ねてわたしも参戦した。「ナマエ…!?」。本当は1対2だなんて嫌だろうけれど、ラクサスは勝たなければいけない。彼のプライドのためにも。「ぐうっ…!」。わたしの攻撃を受けて、ナツの顔が痛みによって歪む。しかし瞬時に切り替えて反撃、至近距離だったのでわたしはもろに喰らう。

「い、っだ…」
「邪魔すんな!!」
「それは無、っぐ、あっ!!」

突然後ろからの攻撃を喰らい、驚いて振り返れば傍観しているだけだったガジル、フリードが一気にわたしに攻撃をしていた。「フリード…!」。なんで、わたし、ラクサス助けようとしたのに、味方のフリードもわたしを止めるわけ?背中に激痛が走り悶える暇もなく、フリードがわたしをうつ伏せに抑え込んでその上に乗る。

「すまない、ナマエ」
「っ痛、いだい、痛い、痛い、やだ、い、だ、」

地面に頬がこすりつけられる。頬も背中も、掴まれている手首も脱臼してしまいそうな肩も、全部痛い。「ラク、」。涙で視界がぼやける。ラクサスと思われるシルエットとそれに向かうナツらしきシルエットを見つけた。

「いやだ、ラクサス、逃げて!!!!」

ナマエ、とフリードが呟く声が聞こえた気がした。きっと憐れんでいるのだろう、馬鹿らしいと、好きな男に依存するわたしに同情しているのだろう。けれど、今はそんなこと気にならなかった。





「いやああああ!!!!」

一瞬でラクサスが視界から消え、そしてまた、落ちて来て彼は動かなかった。「ラクサスが、負けた」。そうどこからか聞こえた。
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