ミラジェーンとフリードの勝負の結果は、どちらも戦意喪失。そんなわけがない、わたしは昔から一緒にいるから知っている。ミラジェーンが本気出せばフリードは負けてしまう。それでも引き分けという結果に終わったのは彼女が優しいから。
さて、これで雷神衆はみんなやられてしまった。残るはラクサスとわたしだけ。ラクサスはあっちでマスターと戦うために力を溜めているから、わたしは足止めをしなくてはならない。とりあえず邪魔なのはこれから参戦するナツとガジルだろうか。

「やらなきゃわたしが殺されるんだって」
「大変だなあ、お前も」

たまたま出会ったガジルにあらかた説明すれば同情された。少しでも同情してくれるのならばラクサスの邪魔はしないでほしいのだけれど、そう言ったところで無駄である。「ま、せいぜい死ぬなよ」。鉄竜剣によって剣になった腕が振るわれ、わたしはそれをひょいと避けた。これでガジルと戦うのは二度目、あの時のような状況でもないからわたしは本気を出せる。離れた体を彼にぐっと近付けた。

「死なないよ。わたしも、ガジルも」





彼は滅竜魔法を使うがナツと違って馬鹿ではなかったようだ。ラクサスのいる聖堂にうまく誘導されて、このままでは合流してしまう。わかっているものの彼がそちらに逃げるのだからなかなか足止めは難しかったようだ。それなりに彼はボロボロだけれど如何せんあっちが本気で聖堂に向かって逃げる。そう思っている間にも彼は一足早く聖堂に入り込んだ。あーあ、この前と立場逆転しちゃってるよ。

「ごめんラクサス、こっちまで来ちゃった」

中を覗けばガチ切れした顔のラクサスとナツの隣に立つガジル。もうナツとラクサス戦っていたのか。「ナマエ、お前、ガジルを…!」「殺しはしないよ。ガジル、続きやろう」。明らかに怪我をしていたガジルを見て、ナツがぎらりとこちらを睨む。少し胸が痛くなったけれど仕方がないことだ。

「いい、二人まとめて俺がやる」
「あ、そう?じゃあ見てるね」

どうせラクサスが勝つのだから、何をやったって無駄なのに。どれだけラクサスに刃向かおうとも、強いんだ、彼も、彼の意思も。おもしろい程にやられるナツとガジルが不憫で仕方がないが、これがラクサスの望んだ結果であるならばわたしは従うだけ。
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テーマ「人外ファンタジー」
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