「どうする、ラクサス。わたしも誰かと戦った方がいい?」
「お前は黙ってろ」

やはり扱いがひどいと思う。
バトル・オブ・フェアリーテイルが開催されて雷神衆は戦いに行ってしまった。わたしも戦えるのだけれど、ラクサスは何もしなくていいと言う。仕方がないから壁際に歩み寄り座り込んだ。フェアリーテイルのみんなの勝負の結果が次々と報告され、それを複雑な気持ちで聞く。
不意にエルザとエバの勝負の結果が報告された。…ああ、エバが、。

「…負けた」

大丈夫だろうか、エバは、怪我とかしてないかな。でも命懸けで戦うんだもの、怪我してるかもしれない。イラつくラクサスの声にびくびくしているとフリードがやって来た。こちらを向いて微笑み、そのおかげで少し気が楽になる。
しかしフリードはラクサスの感情を逆撫でしてしまったようで、脅すように彼のすぐ横の地面が割れる。そうか、人質になったルーシィたちは解放されてしまったのか。まだバトル・オブ・フェアリーテイルは終わらないと、ラクサスの強い声が響く。結局ルールが追加され神鳴殿で街中の人たちが人質となり、フリードはラクサスの命令通り本気で任務を遂行すると告げて去った。

「ラクサス」
「お前も行け、負けは許さねえ」
「わかってる」

わたしも立ち上がりお尻をはらって建物の外に出た。とりあえず巡回してみようと、近くにあった家の屋根に上った。





しばらく歩くとルーシィ、ロキ、ハッピーとビックスローが対峙していた。ルーシィがやられそうになったところでロキが助けに入る。うわ、ロキ超かっこいい。それをしばらく眺めていれば、ビックスローの目が眩しい光で潰れ、あっという間にどこかへ吹っ飛ぶ。なんだ、ルーシィ強いじゃん。ていうかロキが強いのかな?

「ナマエ」

ビックスローはどこに消えただろうかとキョロキョロしているとロキがこちらを見ていた。ルーシィとハッピーもこちらを向く。瞬間ルーシィに対する微かな嫉妬が蘇った。

「ナマエ…」

ハッピーの声にハッとする。思わず魔法を使いそうになった、きっとハッピーがいなかったら攻撃してしまったかもしれない。

「おめでとう、みんな、ところでビックスローどこ行っちゃったかな?」
「やめようよナマエ、こっちに来てよお…」
「ごめんねハッピー。最初はわたしも傍観専門だったんだけど、ついさっき、戦って来いって言われちゃった」
「嘘…」
「ルーシィ、本当だよ。どうする?やる?」

我ながら嫌な女だと思う。正直わたしはビックスローよりも強いし、ルーシィたちは弱ってるし、確実にわたしが勝つに決まっている。しかしわたしの強さを知らないのかルーシィは立ち上がろうとした。うーん、わたしも仲間への一方的な攻撃は心が痛むのだけれど。するとロキがそのルーシィの行動を制して口を開いた。

「頼むから見逃してほしい」
「!ロキ、なんで、今のわたしたちなら…!」
「もしナマエが敵で僕たちが万全な状態であったとしても、彼女に勝つのは難しい」
「そう言われると少し照れちゃうよ」

思わずはにかむと、ロキも困ったように笑った。「いいよ、見逃す。早く手当てしなよ」。バレたらラクサスに殺されるかもなあ。
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