授業が終わり皆思い思いに席を立つ。リズは、ご飯は一緒に食べてくれるけれどそれ以外はだいたい彼氏と行動するようになった。今はわたしより彼にお熱らしいことがとても悔しい。まあいいさ、今に見てろ。わたしもリズの彼氏より超男前で超頭良くて超金持ちで超性格良い男捕まえてやるよ。

「(……そんな男いるかな)」
「ハッ、お前、とうとうベルウィンにも見捨てられたか」

また恒例のマルフォイの無駄(うざ)絡み。近く通る度わたしに話しかけてくるけど、もしかしてわたしのこと好きなのだろうか。まあマルフォイは金持ちだし顔もかっこいいし頭もまあ、いいし何気クィディッチでもシーカーやってるしカリスマ性も(うっすら)あるし、。

「(………こいつ、性格さえよかったらなあ)」
「…なんだよ」
「…別に。てか、見捨てられてないし。今彼氏優先してるからわたしが一人なだけ」
「それを見捨ててるって言うのよ、馬鹿な女ね」

クスクスとドラコの隣で笑うパーキンソン、そうだ、この男にはこの女がいたではないか。この性格の悪さ同士ならお似合いだし、パーキンソンはわたしより頭悪いけどドラコのことがすごくすごく好きだしなんだかんだで女の子らしい。わたしの出る幕などハナからないのだ。
「その通りだね、パーキンソン」。素直に思ったことを述べたら馬鹿にされたとでも思ったのか、再び顔をしかめた。「本当、やな女。行きましょドラコ」。わたしの周り、みーんないい感じの人いるんだなあ。置いていかれてるのわたしだけ?いや、すぐそこにクラッブとゴイルという仲間がいたではないか。……あれと同類ってのも、嫌だなあ。





その日、夕食を一緒に食べ終わるなり、リズは彼と勉強してくるとほざいてどこかへ消えてしまった、きっと談話室だろう。わたしも今日は出された課題をやろうと思っていたのだが、リズの行動に驚き若干引いてなんだか萎えた、やる気しない。気分転換に学校を抜け出して湖に来ていた。

「いつもの友達はどうしたんだい?」

突然の声に心臓がどくりと跳ねた。驚き振り向くと、…一安心。ゴーストではない、うちの生徒だ。ネクタイを見ればハッフルパフ、顔を見ればこれまたイケメン。きっとわたしにも時代が来たんだと思う。

「リズは、彼氏と一緒です。勉強するそうですよ」
「そうなんだ」
「独り身は寂しいもんですね」

冗談めいて自嘲的に笑うと、名前も知らないイケメンさんは隣へやって来る。

「ところで俺、監督生なんだよね」
「えっ」
「こんな暗い時間に学校抜け出すなんて感心しないなあ、罰することもできるけど」
「…えええ」
「ま、今回は見逃してあげるよ」
「!、やった!」

“かっこいい”“監督生”“優しい”!神様、わたしこの人と付き合うフラグ立ちましたよ!ありがとうございます、となるべくかわいらしく微笑めば彼もにっこり笑い返してくれた。

「ナマエ、君はもう三年だろう?見逃すかわりにホグズミード村、デートしてくれるよね?」

こりゃあもう、惚れるしかない。





別れ際に名はビルナ・フォーネットだと告げられた。フォーネット先輩と呼ぶと、「名前で呼んでよ」。きっとビルナ先輩わたしのこと好きだと思う。なんつって、自惚れが過ぎたか。次の日の朝食時にリズに報告すれば意外と興味を持って責められた。「何それあんた、わたしの知らない間に!」。

「ま。絶対あたしの彼氏の方がかっこいいけど」
「はいはい。…あ、ビルナ先輩」
「どこ!」

前方に友達と談話しているビルナ先輩を見つけた。…か、かっこいい…!朝から満足、顔こっちに向いててよかった。気付いてくれないかな。

「っ、」

不意にビルナ先輩がわたしを見て微笑み、手を振った。わたしもぎこちなく振り返し、ぎこちなく笑う。その後彼と目が合うことはなかった。それにしても、ビルナ先輩はすごいなあ。男女構わずお友達がいて、人気者なんだ。

「いい感じじゃない、よかったわね」
「う、うん」
「…あたし、てっきりあんたはマルフォイとくっつくとばかり思っていたわ」
「なんでマルフォイ?あいつにはパーキンソンがいるし」
「けっこうあんたたちもお似合いだと思ってたんだけど、ま、あの先輩の方がいいんじゃない?」

なんとなく先程から視界に入るプラチナブロンド、マルフォイに目を向ければ目が合ってしまった。しかし先に視線をそらした彼は無表情で、やはりビルナ先輩の方が優しいし爽やかだしかっこいいと改めて思った。マルフォイってさ、こう、ネチネチしてるよね。


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