「おい」
「あ、マルフォイだ」
と、軽く返事してみたものの彼は何故か不機嫌な様子であった。一体どうしたというのだろう、わたしマルフォイに何かした記憶はまったくない、というか昨日の授業終わりから一度も話していないんだけれどなあ。
「お前、朝ハッフルパフの奴に手振ってただろ」
「見てたの!?うっわー、恥ずかしい」
「あいつのこと好きならやめとけ」
え、と口が止まってしまった。もしかして、わざわざそれを言いに一人でわたしのところへ?もしかしてマルフォイもわたしのこと好きなの?それで、嫉妬?いやー、困っちゃうなあ。
「まだ好きではないよ。気になってるだけ」
「じゃあ、まだ大丈夫だな」
「でもホグズミード誘われちゃった」
「…は?」
「多分一緒に行くよ」
さあどう出るマルフォイ、あなたが好きなわたしはビルナ先輩とデートに行くぞ!
「……そうか」
「うん(…あ、あれ?)」
「まあせいぜい惚れない方がいいぞ、後悔するからな」
「何それ」
「言葉の通りだ」
はい、マルフォイ脈なし。やっぱりパーキンソンが一番なんだな、そもそもこいつを恋愛対象として考える時点でおかしかったのだ。それに、そこまで言われるとビルナ先輩のことが気になる。嫌な意味で。もししかして相当のタラシとか?
「ちょっと、どういうこと?」
「僕は知らない、自分で調べろ」
「無責任だ、マルフォイ」
「ただ僕は、初めてのホグズミード、君を誘うつもりだった」